アジア投資の最大拠点
ヨーロッパ最大の金融グループHSBCの香港拠点。香港内で140年以上の歴史を持ち、香港ドル発券銀行のひとつ。セントラルにある本店はその形から「蟹ビル」と呼ばれている。
HSBCグループ全体ではヨーロッパ、アジアを中心に全世界82カ国に1万以上の支店ネットワークを持つ。ほとんどの国に支店があるので、ATMカードが1枚あれば現地通貨での引出しが可能。グループ内に口座を持っていると、それを照会口座として他国でのHSBC口座開設がスムーズになる。
香港内の証券会社(BOOM証券やKGI証券)との送金システムが確立されているので、手数料無料で入出金が可能。
総合口座でマルチカレンシー預金&投資が可能
基本通貨は香港ドル。香港ドル普通預金口座・当座預金口座・定期預金口座のほか、日本円を含めた主要10通貨で利用できる外貨普通預金口座・定期預金口座等がある。
香港上海銀行(HSBC香港)の最大の特徴は、これらの口座をすべてひとつの口座番号とステイトメントで管理できる総合口座 Consolidated Account。香港ドル普通預金および当座預金口座にリンクするATMカードと香港ドル建て小切手帳が自動的に発行され、投資口座を開設すれば、香港株やオフショアファンド、債券、CDなどの売買もできる(金やIPO投資も可)。
総合口座には「プレミア Premier」「アドバンス Advance」「スマートバンテージ SmartVantage」の3種類あり、口座の仕組みは同じだが、それぞれ最低預金額やサービスが異なる(下表参照)。プレミアの場合、ファンドの販売手数料が0.5%割り引かれるが、担当者と直接やりとりしたいなどの目的がないかぎり、通常はスマートバンテージで充分。
窓口で円の入出金ができる
HSBC香港とシティバンク香港との最大の違いは、窓口での現金の取扱い。シティバンク香港の窓口では香港ドルおよび米ドルしか扱っていないが、HSBC香港では日本円を含む10種類の外貨現金の出入金に対応している(下表参照)。円口座への現金入金は1日7万5,000円までは無料、それ以上は入金額の0.25%のリフティングチャージが発生する(出金は総額の0.125%)。他通貨に両替して入出金する場合は為替手数料のみ。
郵送でも口座開設可。窓口では英語力がポイント
口座開設の方法は2つ。香港まで足を運んで窓口で手続きをするか、ネットから口座開設申込書を取り寄せ、必要書類とともに郵送で口座開設の手続きをする。
香港の窓口で口座開設する場合は「英語でのコミュニケーション力」が必要。担当者の説明や質問に正しく対応できないと口座開設は認められない。この点さえクリアできれば、投資口座も同時に開設できるので便利。パスポートと英文の残高証明書(発行から3カ月以内)を持参すれば30分ほどで手続きが完了する。
郵送での口座開設は香港非居住者用のサービスで、HSBC Premier内にあるInternational Banking Centre(IBC)が担当する。こちらも電話での本人確認があるが英語力を問われるわけではない(誕生日などの質問に答えればOK)。
サイン認証とパスポート認証の違い
郵送での口座開設には、申込書に記入するサインおよびパスポートのコピーに認証が必要。残高証明書はオリジナルを郵送するのであれば認証は不要。認証資格者は弁護士、公認会計士など(行政書士でもよい)。
サイン認証とパスポート認証の目的は異なる。サイン認証は申込書に書かれたサインが口座開設者本人のものであることを認証するもの。パスポート認証は、パスポートが口座開設者本人のもので、そのコピーがオリジナルと相違ないことを認証するもの。認証についてはQ053参照。
セキュリティデバイスを使ったインターネットログイン
口座開設手続きが完了すると、ATMカードとPIN(暗証番号)、小切手帳、テレフォンバンキング用PIN、セキュリティデバイスが届けられる(セキュリティデバイスはインターネットバンキングへの初回のログイン後に自動的に郵送されてくる)。セキュリティデバイスには6桁の数字(セキュリティコード)がランダムに表示され、ログインの際に使用する(P118の写真参照)。送金指示を出す場合にも、セキュリティコードの入力が求められる。
インターネットバンキングを利用して香港内外に送金することができるが、事前に送金限度額を設定しておく必要がある。さらに、1日5万香港ドルを超える送金は送金先登録が必要になる(登録先への送金限度額は1日100万香港ドル)。
送金額設定および送金先登録はいずれも、インターネット上から規定のフォームをダウンロードし、記入・サインをしてオリジナルを郵送するか、窓口に提出する(ただし、長期間使用しないとセキュリティのためリセットされる)。
送金先登録書やインターネット上の送金フォームには文字数制限があり、コルレス銀行を指定した送金指示は不可能。その場合は「電信送金申込書 Telegraphic Transfer Application Form」に記入・サインをして郵送する(口座開設時に何枚かもらっておくとよい)。
香港ドルを送金するのであれば、小切手を利用したほうがずっと簡単。香港外への送金手数料は100香港ドル+海外送金手数料(送金先銀行による)。
香港の証券会社と組み合わせるのが賢い方法
投資口座を開設した場合は、インターネットを利用して下の表の金融商品に投資可能。総合口座内の香港ドル普通預金もしくは当座預金を決済口座として利用できる。香港株を取引する場合は売買手数料(売買代金の0.25%)のほか、半年ごとに100香港ドルの信託手数料Safe Custody Feeが発生する(該当期間内に取引がなければ免除)。
香港の証券会社BOOM証券やKGI証券は日本から郵送で口座開設でき、手数料も安い。HSBC香港の銀行口座とオンライン証券会社を組み合わせれば、実質的に投資口座を保有したのと同じことになる。HSBC香港と証券会社間の入出金は無料。
いざというときは香港に行く覚悟を
通常使用している分には問題がないが、なにかトラブルが発生した場合は、日本からEメールや電話で指示を出すのはかなり大変。支店窓口で処理すべき手続きを海外から行なうので、担当者が誰なのか定まっていない場合もある。そんなときは、思い切って香港に行ったほうが早い。
本来は香港に住む個人・法人のためのローカルバンクであり、海外居住者向けのオフショアバンクではないということを理解して上手に利用したい。