手数料は格安、保障はしっかり
1985年に地元投資家向けのディスカウント・ブローカーとして設立。1997年にネット取引をスタートさせた。
株式売買手数料は一律6.95ドルで、アメリカの大手ディスカウントブローカーに比べても格安。最低預入額の規定もない。
会社の規模や知名度はまだまだだが、「Forbes」誌で「Best of Web Selection」に選ばれるなど、アメリカ国内での評価も高まっている。
証券投資家保護機構 The Securities Investor Protection Corporation(SIPC)および金融取引業規制機構The Financial Regulatory Authority(FINRA)に加盟しており、口座資金50万ドルまで(現金については25万ドルまで)はSIPCが保障している。
手数料が安い分、コストのかかるサービスは一切なし。一般口座ではATMカードや小切手帳は発行されず、書類が郵送で送られてくることもない(VISAデビットカードや小切手帳などが発行される口座もある)。
米国市場の現物株、信用取引、個別株オプション取引ができる
米国市場の株式、ミューチュアルファンド、債券などすべてインターネットで取引可能。
ニューヨークNYSE、ナスダックNasdaqなど各証券取引所の全上場銘柄、ETF(上場投信)、REIT(不動産投信)のほか、OTCブリティンボード(OTC Bulletin Board=OTCBB)やピンクシートなどの店頭銘柄も扱っている。個別株オプション・指数オプションの取引もできるなど、初心者からヘビーユーザーまで、米国市場に興味のある人には文句なしのラインナップ。配当の自動再投資サービスも魅力的。
口座にある資金内で決済をする「キャッシュ口座 Cash Account」が基本。これに「マージン口座 Margin Account」と「オプション口座 Option Account」の機能を追加する(口座番号はひとつのみ)。いずれも通常の口座開設申込書に加えて同意書の提出を求められる。
マージン口座を開設すると保有している現金や株式を担保に借入れができ、カラ売りも可能になる。マージン口座の最低預金額は2,000ドル。これは米国連邦準備制度理事会FRB(The Federal Reserve Board)のルールなので、アメリカ国内のどの証券会社を利用しても同じ。
信用取引限度額Margin Buying Powerは現金取引限度額Cash Buying Powerの2倍。キャッシュ口座とマージン口座のどちらで決済するかは取引のたびに自分で選択する。
オプション口座は開設時に自分で希望する取引範囲を選択する。ファーストレード証券でできる取引は下の表のとおり。CallとPutの買いのほか、売りWritingも可能。ただし、原資産を持たないコールの売りはできない。
本人の希望に投資経験と投資目的が加味されて取引範囲が決定される。ハイリスクな取引を希望する場合、投資経験は「Excellent(豊富)」、投資目的は「Speculation(投機)」としておこう。
口座開設と同時に、リアルタイム株価ツール「X-Stream」を利用できるようになる。「ウォッチリスト Watchlist」と「ポートフォリオ Portfolio」の2つの機能は無料。他にナスダックの「Level Ⅱ」を利用する有料ツール(月19.95ドル)もある。
ミューチュアルファンド、債券取引も可能
「ミューチュアルファンド Mutual Fund」のほとんどはオンライン証券会社で売買されているが、米国非居住者向けの販売については各社で対応が異なっている(詳細はQ022参照)。
ファーストレード証券には約1万種類のファンドが登録されており、非居住者でも問題なくネットで購入できる。ただしファンド会社自体が非居住者への販売を規制している場合があるので、個別に確認が必要。
販売手数料は下の表のとおり。ファンドの種類によって異なる。ノーロードファンド No-load Fundとは、ファンド会社への販売手数料がかからないファンドのこと(販売手数料が発生する通常のファンドをロードファンド Load Fundという)
米国債、地方債、企業債、政府関係機関債、ゼロクーポン債、ストリップ債、譲渡性預金証券CDなど、多様な債券もネットで取引できる。
預け金に利息が付く
取扱通貨は米ドルのみ。口座内の預け金には2012年3月現在、年0.25%(2万5,000ドル以上)の利息が付く。
パスポートのコピーの認証不要、住所証明書類も必要なし
口座開設手続きはインターネットから行ない、プリントアウト後、サインをするだけ。これに身分証明書類となるパスポートのコピーを添付する。認証は不要。住所証明書類も必要ない(現住所と国籍が異なる場合のみ住所証明書類の提出が必要)。
口座開設手続きと同時にインターネット上でログイン用のユーザーIDおよびパスワードを設定するので、必要書類を送付する前にすぐにログインできるようになる。これだけシンプルな申込み手順は他にあまり例がない。
「口座開設申込書 Online Service Agreement」と、オプション取引および信用取引を希望する場合に提出する「同意書 Agreement」はFAX返信でもOK。パスポートのコピーと「W-8BEN」は郵送する。
口座開設時の最低預金額規定はないが、信用取引をする場合は2,000ドルの資金が必要になるので、これがひとつの目安になるだろう。
バンクオブハワイと合わせての利用が便利
ファーストレード証券では送金小切手や米国外の金融機関が発行する個人小切手は受け付けられないので、口座への入金は日本の金融機関から電信送金するのが一般的。
バンクオブハワイの項でも紹介したが、アメリカの証券会社を利用するには、アメリカ国内の銀行と組み合わせるのが理想的。バンクオブハワイに口座を持っていれば、口座開設手続きの際に個人小切手を同封することもできるし、ACH送金と呼ばれる無料の国内送金システムも利用できるのでとても便利だ(「海外送金」Q-013参照)。