香港豆知識21


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香港のコピー商品2(コンピュータソフト)

 “コピー天国”香港では、CDやDVD、パソコンソフトのコピーも大量に売られている。ただし、音楽はインターネットから勝手にダウンロードできる(本当は違法)ようになったし、DVDはすべて中国語字幕なので、近くのレンタルショップで正規版を借りた方がずっといい。

 パソコンソフトやゲームソフトも同様にほとんどが中文版なので、日本語OSでは使えない。しかしなかには英語版のソフトもあり、外国人旅行者の人気を集めている。

 コピーソフトでもっとも有名なのは深水捗(シャムシュイポ)の黄金電脳中心(ゴールデン・コンピュータセンター)。“コンピュータおたくの殿堂”として知らぬ者のない聖地だ。

 このビルの地下1階がソフト売り場で、ゲームソフトやコンピュータソフトが整然と並べられている。しかしよく見ると、すべてコピー商品。この広いフロアに、正規のソフトを扱う店は1軒もないのだ。

 この光景を見ると、マイクロソフトをはじめとするソフトメーカーが激怒する理由もよくわかる。もっとコソコソ売っているならともかく、これでは香港当局がコピー販売を許可しているのと同じだからだ。

 もちろん、ビルの入口には携帯電話を握り締めた見張り役が立っているから、彼らもそれなりに気にはしているのだろう。しかし今でも、中文版のコピーソフトはやりたい放題に近い。

 それに対して、英語版ソフトはずっと神経質だ。こちらの方が、ソフトメーカーの逆鱗に触れる度合いが高いのだろう。これまでも、店の奥でひっそりと売られているだけだった。

 ここで過去形を使ったのには訳がある。実はさしもの黄金電脳中心でも、英語版ソフトを扱う店は姿を消してしまったのだ。もちろんコピーソフトは違法だから、これは喜ばしいことである。

 では、したたかな香港商人もついには駆逐され、英語版コピーソフトは香港から消えてしまったのだろうか?

 そこで試しに、「英語版のソフトはあるの?」と見張り役の店員に聞いてみた。すると彼は、黙って天井から吊り下げられた「TOILET」の紙を指差すではないか。

 トイレの場所を知りたいわけではないのに、と思ってもういちどよく見ると、「TOILET」の文字の横にマジックで青の矢印が書いてある。

 さて、話はここからいきなり空想モードになる。以下、その矢印の先に何があるのかを推理してみよう(すべて架空の話である)。

 青い矢印にそって歩いていくと、フロアの片隅に白人旅行者が集まっている狭い店がある。店といってもそこにあるのはカウンターだけで、その上に何冊かノートが載っている。

 なんだろうと思ってそのノートを開くと、そこにはマイクロソフト社やアドビ社の高価なソフトの写真が、値段といっしょに掲載されている。カウンターの向こうの店員が「お前はどれが欲しいのか」と聞いてくるので、適当に指差すと、ソフトの番号と金額を殴り書きした汚い紙を渡され、隣の店のレジで金を払えと言われる。

 指示通りに金を払うと、こんどはレジ係から数字を書いた汚い紙を渡され、「30分たったらここに戻って来い」との新たな指令が下る。仕方がないので近所の甘味処で甘ったるいジュースなどを飲みながら時間をつぶし、30分後に店に戻ると、こんどは少し離れたビルの一室に行くよう指示される。そこで紙切れとコピーソフトを交換するのだ。

 これで無事、作戦は終了。まるでスパイ映画のようでなかなか面白い。

 あっ、これはもちろん空想の話で、現実とは異なります。

これが噂の黄金電脳中心


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