香港豆知識15


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香港の女性が愛想のない理由

 香港に行くたびに、なんで女性がこんなに愛想がないのか不思議に思っていた。これは銀行窓口やレストランなどの客商売でとくに顕著で、日本人旅行者のなかには馬鹿にされたと思って怒り出す人もいるようだ。これは個人的な偏見かと思っていたが、香港人の男性も含め、ほとんどの人がこの意見に同意するところをみると、あながち的外れでもないらしい。

 その後の調査によれば、香港で女性の地位が高い理由には歴史的な背景がある。
香港はもともと、共産中国から命がけで逃れてきた人たちによってつくられた街だ。国境越えはまさに命懸けで、時には鮫の泳ぐ海を泳ぎ渡るような過酷なものだったため、どうしても女性の数は少なくなる。香港では、女性はずっと希少価値だったのだ。

 ある香港人男性の解説によれば、男女の比率に大きな差がある以上、香港の男は必死になって女性に尽くし、関心をひくしかなかった。一方の女性は圧倒的な売り手市場で、何もしなくても次々と男が言い寄ってくるのだから、男性に媚を売るなどということは考えもしなくなった。こうして必然的に、愛想のない女性が増えたのだという。

 香港では、中流以上の家庭の主婦は家事をしない。女性に家事をさせるような男は最低なのだ。そのためフィリピンから、阿馬と呼ばれるメイドが大量にやってきている。当然、ほとんどの香港人女性はまったく料理ができない。

 現在では香港の男女比はほぼ同数になったようだが、こうした家庭に育った香港人には、父母をロールモデルとする行動パターンが染み込んでいるようだ。

 香港では女性の社会進出が進んでおり、大企業の幹部社員が女性ということも珍しくはない。その下で若い香港人の男性がかいがいしく働いているのだが、それで組織は何の問題もなく回っていく。もともと彼らは、父親がそうだったように、女性に尽くすことに違和感を持たないから、女性上司ともうまくやっていけるのだ。

 女性にとって、香港ほど暮らしやすいところはない。しかし男性が不幸かというと、別にそういうこともないらしい。

 しかし第三者は、時々ひどい目に合わされることになる。

 ある時、日本に遊びに来た香港人の夫婦と食事をすることになった。しかし、いつまで待っても妻だけが来ない。道に迷ったのかと心配し、近くの交番に問合せるなど大騒ぎした挙句、当の本人は1時間遅刻して堂々と登場した。デパートがバーゲンだったから、買物をしていたのだという。

 彼女からは、一言の謝罪の言葉もない。夫の方も、べつに叱るわけでもない。後で別の香港人の友人に聞いたら、それが当たり前だという。

 男が香港で生きていくのは、やはり大変なのだ。


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