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海外投資を楽しむ会の主張(2) 郵便貯金を解約しよう! 国家というのは国民から税金を集め、インフラ整備(道路や上下水道)や社会福祉(年金や健康保険)など、さまざままかたちでそれを国民に再分配しているわけですが、日本という国には、税金の使い道を決める「予算」のほかに、「財政投融資(財投)」という不思議なお金が存在します。 この財政投融資は、郵便貯金や簡易保険で集めたお金を、大蔵省の資金運用部が特殊法人(道路公団や住宅金融公庫など)や第3セクター(地方自治体と民間企業の合弁で行なわれる開発事業)などに貸し付けて運用するもので、この国の公共事業を支える重要な柱になっています。 ところが、郵便貯金の金利が民間銀行よりも明らかに低いと、誰も郵便局にお金を預けなくなってしまうので、財投の原資がなくなってしまいます。財投の原資がなくなると、そのお金でなんとか生きながらえている赤字特殊法人や赤字第3セクターの経営が破綻し、それらの公共事業で生計を立てている地方の土建業者がバタバタと倒産し、街に失業者が溢れ、大蔵省や建設省などのお役人様が天下りする場所もなくなってしまいます。ついでに郵便局の経営も成り立たなくなりますから、これまでの郵政行政は崩壊し、地方の郵便局長の政治力で集票してきた自民党にも大打撃です。 ただし、郵便貯金の金利が民間よりもあからさまに高くなってしまうと、今度は民間銀行がつぶれてしまうので、その金利は民間銀行よりもちょっとだけ有利なように、微妙なさじ加減で設定されているわけです。簡易保険と民間の生命保険の関係も、これと同じです。 また、郵便貯金には「経営破綻」ということがありません。なぜなら、「不良債権」というものが原理的に存在しないからです。 郵便貯金は、たとえお金を貸した先の特殊法人が破綻しようが、第3セクターに事業が行き詰まって解散しようが、貸し出した元金と利息を確実に受け取ることができます。そういう場合は税金によって補填すべし、と法律で決められているからです。そのため、国鉄清算事業団に莫大な額の財投資金が投入され、回収が困難になっても、郵便貯金は何の問題もありません。その代わり、巨額の債務はそのまま国家会計に移され、たばこ税を増税したり、国鉄各社に追加出資を強制したりしながら、問題は先送りされていくわけです。 実質破綻した苫東開発をはじめとして、地方の第3セクターの大半は大きな赤字に喘いでいます。特殊法人の中にも、実際は何の活動もしていないものや、どうでもいいような許認可を生業にしているものや、住都公団のように民間との競争力を完全に失ってしまっているところがいくつもあります。そうしたところに貸したお金は戻ってはこないのですから、これらの不良債権は、いずれ税金によって補填されるに決まっています。 こうした大きな矛盾を解決するために、私たちは、 郵便貯金を解約しよう! と提案したいと思います。郵便貯金や簡易保険にお金が貯まりつづけるかぎり、財投制度は維持され、特殊法人などに不明朗なお金が流れ、税金や社会保障費の負担増となって跳ね返ってくることは明らかだからです。 それをやめるのは簡単です。みんなが郵便貯金と簡易保険を解約して、財投の資金をなくしてしまえばいいのです。こうすれば、あっという間に財投制度は崩壊し、これまでの矛盾がすべて表面化し、不必要な特殊法人や第3セクターはあらかた消えてなくなり、日本もずっと住みよい国になるでしょう。 ところで、年利0.3%だったはずのニュー定期を1ヶ月の自動継続にしておけば、実質年利が1.2%に跳ね上がるという「裏ワザ」が一頃大流行しました。考えてみれば、これもずいぶん人をバカにした話です。特定の預金者に支払った法外な利息は、めぐりめぐって税金で補われることは明らかだからです。 私たちの提案は、年利0.3%だとか1.2%だとかいうセコい話はさっさと忘れて、外貨建て商品やアメリカの株式などで、リスクを引受けながら年10%、20%の利回りを目指そう、というものですが、そんな恐ろしいことはとてもできないという方には、日本の転換社債への投資をお勧めします。 現在、ゼネコンや商社の発行した転換社債の中には、実質年利10%を越えるものがいくつもあり、なかには一時期の青木建設や長谷工のように、年利50〜60%という凄まじい利回りのものも見受けられます。もちろんこれらの“ジャンク転換社債”にはデフォルト・リスクがあるので積極的にはお勧めできませんが、日立や三菱自動車など、業績は不調だけどまずつぶれることはないだろうという大企業の転換社債でも、実質年利2〜3%になっています。店頭公開企業の転換社債なら、A格以上の格付でも実質年利3%以上のものがあります(こうした転換社債は、証券会社の窓口に行けば誰でも簡単に購入できます。「利回り3%くらいの転換社債を教えてください」と言えば、データベースを検索してすぐに候補を出してきてくれます)。 このように、ちょっとしたリスクを取りさえすれば、郵便貯金のセコい裏技よりもはるかに有利に、資金を運用することができます。 日本のためにも、あなたの資産運用のためにも、今すぐ郵便貯金を解約しましょう。
『ゴミ投資家のためのビッグバン入門』の原稿に加筆
1999年3月15日 |